カーアンドレジャーニュース > トヨタ、今冬発売が予定されているプリウスPHVの新技術を発表
2016/08/29

トヨタ、今冬発売が予定されているプリウスPHVの新技術を発表

osaki
カーアンドレジャーニュース

 トヨタ自動車は、今冬に発売を予定している新型プリウスPHV(日本仕様)に採用した新技術と諸元の一部を発表。あわせて、サーキットでの試乗も行ない、従来にも増したモーターによる力強い走りと、優れた走行安定性に自信をのぞかせた。新型車は大容量リチウムイオン電池とシステムの効率向上によりEV走行距離を60㎞以上に延長(従来型は26・4㎞)、JC08モード燃費は37・0㎞/㍑(同31・6㎞/㍑)と、性能を大きく向上させた(いずれも目標値)。

 PHV(プラグインハイブリッド車)は、電気自動車(EV)の機能と、燃費を追求したHVの機能を高い次元で融合させた次世代の環境車。新型プリウスPHVは、昨年末に発売された新型プリウスの〝進化形〟ととらえている。

 新型車は、①優れたデザイン、②環境性能と走行性能向上、③電気の有効活用の3点をポイントに開発された。EV走行距離とJC08モード燃費を向上させるとももに、先代モデルでの不満点の一つだった外部充電についても、利便性を向上させている。

■EV走行性能向上のために
 駆動用の「リチウムイオン電池」は、総電力量を従来型の約2倍(8・8kW)にしたことで出力が大幅に向上。スムーズでパワフルなEV走行を長距離で体感できるようになった。その距離約60㎞は、平均的なドライバーの1日の走行距離をほぼカバーするもので、自宅周辺の送迎だけでなく日々の通勤もEV走行でまかなえるようになった。

 また、駆動用電池は低温時に出力が低下するため、充電容量が十分残っていてもエンジンが始動してしまう。「バッテリー昇温システム」により、充電中に外部電力を使い電池を昇温することで、冬季でも十分なEV走行ができる充電が可能となった。

 EV走行で、力強い走りをもたらすのが新開発の「デュアルモータードライブシステム」。PHVは二つのモーターを持っており、従来は一つを駆動用に使っていた。新型ではEV走行時、発電機(ジェネレーター)をモーターとして作動させ、二つのモーターで駆動することになり、力強いEV走行を実現した。

■充電しやすく、利便性も向上
 PHVは駆動用電池をフル充電することで、EV走行の性能を十分に発揮できる。そのため、充電がしやすいことが重要だ。公共施設等で設置が進む急速充電(20分で約80%充電)に対応可能となったほか、充電器の性能向上を図り200Vでは約2時間20分で満充電になる。さらに、100V/6A充電にも対応することで、専用回路の工事が不要となり家庭でも充電しやすくなった。

 一方、充電スタンドがない駐車場や、停電時にも充電できる世界初の「ソーラー充電システム」も採用された。ルーフを大型ソーラーパネルとし太陽光発電を行ない、その電力を駆動用電池に充電する。このシステムの充電でも、最大6・1㎞/日(平均2・9㎞/日)EV走行が可能になるという。なお、走行中に発電した電力は補機用電池(12V)に蓄えられ、従来駆動用電池が行なっていた補機用電池への充電の負担を軽減する。

■PHVらしいデザイン
 プリウスのリーディングモデルにふさわしい、独自の先進的機能とスタイルを融合させたデザインを採用。プリウスより前後オーバーハングを延長し、伸びやかなシルエットになっている。

 フロントは透明アクリル樹脂を採用した大型グリルや、先進イメージを強調する4眼LEDヘッドランプを採用した。そのヘッドランプには、トヨタ初のAHS(アダプティブ・ハイビーム・システム)が採用された。先行車のテールランプや対向車のヘッドランプを検知すると、ハイビームの照射範囲を自動的に調整し周囲の眩惑を防ぎ、ドライバーには常にクリアな夜間の視界を提供する。

 リヤビューは、波状断面を持つバックガラスを採用。これを活かすために、1本のラインでつながるリヤコンビネーションランプを採用し、一目でプリウスPHVとわかデザインとした。また、このバックドアの骨格はLFAでも採用されたカーボン素材(CFRP)を採用し、骨格部で約40%の軽量化を実現した。

 インパネには、大型11・6インチT-コネクトSDナビゲーションシステムをトヨタ車で初採用した。縦型の画面に合わせ、左右にエアコンレジスターを配置し、ディスプレイが象徴的に見えるような先進的なデザインを採用した。

■インプレッション
 比較用にプリウスも用意されていたので、わずか数周のPHV試乗だったが、その違いは明らかだった。会場は1周約2・4㎞の袖ヶ浦フォレストレースウェイ。最初のPHVでの走行ではペースが遅かったのか、ほとんどモーターのみで走り切れた(2度目は時折エンジン始動)。もっとペースの落ちる一般道なら、かなりの距離をモーターのみで走ることが期待できた。

 常にエンジンがうなっているプリウスとプリウスPHVでは、比べるのが酷と思えるほど静粛性が異なる。モーターが支配する無音の空間で加速と減速を繰り返す。PHVならでなのドライブフィーリングだ。もちろん、ともに同じ骨格を持つプリウスとPHVは、コーナーで無駄なロールもなく、ステアリングも確か。環境性能だけでなく運動神経も抜群だ。

  週刊Car&レジャーについてはこちら→http://www.car-l.co.jp/

Facebookで更新情報をチェック!