カーアンドレジャーニュース > 体験型コンテンツで電動車両の魅力を発信 三菱自動車の次世代店舗「電動DRIVE STATION」
2017/02/26

体験型コンテンツで電動車両の魅力を発信 三菱自動車の次世代店舗「電動DRIVE STATION」

osaki
カーアンドレジャーニュース

 今話題のEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド)。これら電動車両に注力する三菱自動車は、その価値や普及促進を目指した次世代店舗「電動DRIVE STATION」の展開を開始。第1号店として、関東三菱自動車販売(印藤啓孝社長)が運営する世田谷店(世田谷区上用賀)がリニューアルされた。電動車両の意義と役割を楽しみながら理解できる、これまでにない取り組みがなされ、まさに注目となっている。

 世田谷店は、都内でも有数の幹線道路である環状8号線沿いに立地。近隣には砧公園や東名高速・東京ICもあり、地元住民以外にも認知度の高い店舗として知られている。その世田谷店が昨年10月、電動DRIVE STATIONの全国第1号店としてリニューアルされた。この「電動DRIVE STATION」とは、電動車両(EV、PHEV)の意義と価値を伝えていく次世代店舗の名前。太陽光発電システムとV2H機器を備え、電動車両から店舗への電力供給を可能としているのが特徴である。

■電動車両の普及を通じて社会に貢献

 2009年に「i-MiEV」、2013年には世界初のツインモーター4WDのPHEV「アウトランダーPHEV」を発売し、電動車両のパイオニアとしてモータリゼーションをリードしてきた三菱自動車だが、電動車両には大きく二つの役割があるという。一つは「日本のエネルギー問題」、そしてもう一つは「国土強靭化」である。

 まず前者は、電気はさまざまなものから生み出すことができるということ。日本のエネルギー自給率は約6%と、先進国の中で極めて低い水準。その中で最も多く消費されているエネルギー源は石油で、それを最も多く消費しているのが自動車だ。自動車のエネルギー源が石油以外のものに変わっていけば石油への依存度が下がり、日本のエネルギー需要構造の安定化が期待できる。

 後者は、電動車両は移動可能な非常用電源にもなるということだ。日本は度重なる自然災害によりさまざまな被害を受け、長期間にわたる復旧・復興が繰り返されてきた。これらの問題を背景に、致命的な被害を負わない強さと、速やかに回復することができる社会システムの構築を目指し、現在取り組みが進められている。

 これらの役割から、三菱自動車は電動車両の普及は社会への貢献と考えている。そこで電動車両の役割を伝えるべく誕生したのが、電動DRIVE STATIONのというわけである。

■外部給電機能で災害時の価値を体感

 電動DRIVE STATIONは通常の店舗機能に加え、電動車両の価値や情報を発信する拠点として、プレゼンテンションツールやデモンストレーションコーナーを設置しているのが大きな特徴。また、店舗外壁上部に太陽光パネル、店舗入り口には車両に蓄えた電気を家に供給するV2H(ヴィークルトゥホーム)機器を設置。太陽光で発電した電力はV2H機器を通じて電動車両への充電に使用される。このシステムによって、停電時でも最大6000Wの電力を店舗内で利用可能としている。

 ショールームには、電動車両の外部給電機能の利便性を体感できる「ライフスタイルコーナー」を設けられているのが目を引く。一般家庭のリビングを模したこのコーナーは、太陽光発電システムとV2H機器を備えたスマートハウスの一室という設定。ここでは、電動車両の外部給電機能を使った「停電デモンストレーション」と「1500W体感デモンストレーション」の二つのデモを体感できる。

 「停電デモンストレーション」は、停電時でも電動車両とV2H機器があれば、昼夜問わずに電力を供給できるということを体感できるもの。停電時にV2H機器が電動車両と太陽光発電システムからどのように電力が供給するか、エネルギーモニターで確認することができる。一般的な太陽光発電システムでは夜間使用できない冷蔵庫やテレビ、電子レンジなども、電動車両とV2H機器があれば使用可能だ。

 また、V2H機器がなくても、外部給電機能のある電装車両ならば電化製品に電力を供給することもできる。最大1500Wの電力が出力可能なアウトランダーPHEVなどを使って、電化製品への電力を供給する「1500W体感デモンストレーション」では、冬の夕方から翌朝まで1500Wの電力で過ごすと仮定したデモが体感できる。冷蔵庫やテレビ、卓上ランプ、電子レンジ、携帯電話の充電器などのスイッチを入れ、1500Wでどれだけの電化製品を動かすことができるのかを確認していくが、意外なほど多くの機器が使用できることに驚くはずだ。

 二つのデモの所要時間は合わせて20~30分で、作業を待つ間に体感するのに最適。世田谷店店長の小﨑哲次氏は「土日は10組以上にデモ体験していただいているが、内容がわかりやすいという評価をいただいている」という。

 さらに、店内中心部に設置されたデジタルサイネージでは店舗の機能や設備に加え、電動車が社会で果たす役割を紹介。自動車の動力源を石油に頼らないことの重要性のほか、災害直後の移動手段や電力供給に電動車両が重要な役割を果たすことを分かりやすく解説している。加えて、キッズコーナーには、エネルギー問題や防災について紹介した漫画や絵本を置き、子どもにもわかりやすい工夫がんされている。

 

■地域との連携で防災意識向上を図る

 一方、店舗の機能やコンセプトを活用し、地域貢献活動も積極的に実施。NPO法人協力のもと、防災マップを見ながら店舗周辺を散策する「防災ピクニック」を開催し、災害時に危険になり得る場所を確認や、非常食の試食などを楽しみながら防災意識を高める取り組みを行なっている。

 また、小中学生を対象とした「エネルギー・環境学習ワークショップ」の開催や、区役所の刊行物などを店舗に置くなど、地元自治体との連携も展開。自治体との関係について同社国内営業本部国内企画部上級エキスパートの小野勉氏は「ワークショップ開催をきっかけに地元教育委員会と連携が深まり、小中学生を対象に新たな取り組みを模索している段階」とし、今後も地域との連携を一層加速させ、店舗を情報共有の場として地域に貢献したいとしている。

 今後の展開について小野氏は「昨年10月~今年3月の実証期間で評価を行ない、パッケージングを完成。世田谷店の完成形をひとつのパッケージとして、全国展開していきたい」と説明。2020年までに全国販売店約3割にあたる200店舗で展開していく方針だ。

 三菱自動車の強みである電動車両の価値や認知度向上を目指す電動DRIVE STATION。クルマの販売や整備に留まらず、付加価値の提供で新たな販売店像を示している。

 【店舗概要】

 住所:東京都世田谷区上用賀6-5-2▽店舗スタッフ:小﨑店長以下、メカニック8名、アドバイザー3名、マネージャー1名ほか総員21名▽営業時間:10時~19時(毎週火曜日定休)

 週刊Car&レジャーについてはこちら→http://www.car-l.co.jp/

Facebookで更新情報をチェック!