フォルクスワーゲングループジャパンは２月14日、ミドルサイズセダンのパサートと、ミドルサイズステーションワゴンのパサートヴァリアントに、ディーゼルターボエンジン（ＴＤＩ）搭載モデルを追加して発売した。これにより、パサートはガソリン（ＴＳＩ）、プラグインハイブリッド（ＧＴＥ）と合わせ、三つのパワーユニットから選べることになった。

　今回導入されるのは、セダン、ヴァリアントともに装備充実の〝ＴＤＩエレガンスライン〟と、上級装備を持つ〝ＴＤＩハイライン〟の２グレード。搭載されるパワーユニットは、日本のポスト新長期排出ガス規制をクリアした直列４気筒２・０㍑ディーゼルターボエンジンで、最高出力１９０ＰＳ／３５００～４０００ｒｐｍ、最大トルク40・８㎏ｍ（４００Ｎｍ）／１９００～３３００ｒｐｍというスペックを持つ。

　このエンジンも、フォルクスワーゲン（ＶＷ）が各モデルに採用している、生産モジュール（ＭＱＢ）に基づいて開発されたものだ。
　ディーゼルエンジンの課題である排出ガス浄化には、酸化触媒、ＳＣＲ（選択触媒還元）、ＤＰＦ（ディーゼルぱてぃきゅレートフィルター）等の後処理システムにより、世界一厳しいといわれる国内のポスト新長期規制をクリアした。

（最新のインフォテイメントシステム〝ディスカバープロ〟を備えるインパネ）

■ディーゼルが環境に優れる理由
　ガソリンエンジンは、燃料と空気の混合気をスパークプラグで点火するが、ディーゼルエンジンは、圧縮行程で高温化した空気に直接燃料を噴射して着火させる。
　そのため、圧縮比はガソリンエンジンより高く、噴射する燃料は少なく済み、これがディーゼルえんじんの高い燃料効率に繋がり、ガソリンエンジンより効率面優れるという理由だ。
　ＴＤＩのターボは、排出ガスの流れを制御する可変機構を持ち、可変機構をエンジン回転数に──低回転時＝排気の流速を上げ過給効率を高める／高回転時＝排気の圧力を下げ損失を減らす──応じて制御することで、効率が良く最適な過給圧を得られるようにした。つまり、市街地から高速道路まで、高効率でゆとりある走りを満喫でき、優れた燃費により二酸化炭素の排出量も低減される。

■排出ガス浄化技術
　ディーゼルエンジンには燃焼温度が高くなると発生するＮＯｘ（窒素酸化物）と、低燃焼時に生成されるＰＸ（粒子状物質）があり、以下の各技術で浄化する。
●コモンレール式燃料噴射システム
　約２０００バールの高圧で燃料（軽油）を燃焼室内に噴射。１行程中に複数回分割噴射することで燃料消費を抑え、ＮＯｘとＰＭの発生を抑え、理想的な燃焼状態を実現する。
●ＤＰＦ
　排出ガス中のＰＭを吸着させる、ＤＰＦ付触媒を排気管内に設置。ここに堆積したＰＭは、フィルター自体の温度を上げることで燃焼・除去しフィルターの機能を維持する。
●ＳＣＲシステム
　触媒を通過した排出ガス（ＮＯｘが残っている）に、ここで尿素水溶液（アドブルー）を噴射。ＮＯｘを化学反応させ、無害な窒素と水になる。アドブルーの専用タンク（13㍑）があり、１０００㎞走行で約１・５㍑消費される。
●ＥＧＲ（排気再循環）システム
　燃焼室の燃焼温度が高くなるとＮＯｘの発生量が増えるので、一旦排出した排ガスを再びエンジン内に戻し、燃焼温度を下げＮＯｘの発生量を低減させる。このエンジンはＥＧＲクーラーも持ち、より低温度の排出ガスをエンジン内に戻し、燃料温度上昇を抑えている。

■自動運転に通じる運転支援
　ＶＷは全てのモデルに世界トップレベルの安全技術・快適装備を採用。このパサートも予防安全・衝突安全・二次被害防止からなる総合安全コンセプト、ＶＷオールインセーフティに基づいた数々の安全装備を照準装備している。渋滞時追従支援システム「トラフィックアシスト」や、プリクラッシュブレーキシステム「フロントアシスト」、レーンチェンジアシストシステム「サイドアシストプラス」。「パークディスタンスコントロール」は、前進／後退時に障害物に近づき衝突の恐れがある場合、自動ブレーキで衝突回避または被害軽減を図る。

■輸入車ディーゼルは好調
　２０１２年以降、国内のディーゼル乗用車市場は拡大傾向にあり、輸入車では昨年ディーゼル車の販売は前年比31％増で、国内輸入車市場拡大に貢献。外国メーカー輸入車総販売台数の約２割を超えるシェアとなっている（ＪＡＩＡ調べ）。いよいよ、ＶＷからもディーゼルモデルが加わり、さらなるシェア拡大が期待される。
【希望小売価格（ＴＤＩのみ）】パサート＝４２２万９０００円～４８９万９０００円▽パサートヴァリアント＝４４２万９０００円～５０９万９０００円

週刊Ｃａｒ＆レジャーについてはこちら→http://www.car-l.co.jp/