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コラム
2018/06/10

【車屋四六】世界を驚かせた小ベンツ

matsuguma
カーアンドレジャーニュース

1982年、専門家の注目を浴びたのがベンツ190の登場だった。
高級車専門メーカーが、何故コンパクト市場に首を突っ込む?プレステージ専門の誇りはどうした?と云うのが理由だった。

それは吉兆が回転寿司を始めた!?というようなものだが、その後コンパクトどころか、AクラスやBクラス、はたまた軽自動車もどきのスマートにまで手を広げようとは誰が想像しただろうか。

原因は少量生産高収益では21世紀に生き残れない、生き残るには数で勝負という市場の流れに沿ったものだった。
当時{400万台クラブ}というのが流行語だったように、世界中で合併統合が繰り返さたのである。

「190開発は石油危機が発端」とベンツは説明したが、数で勝負が本音だったろう。1983年ヤナセは190の報道試乗会を箱根で開催した…83年といえば、60%という驚異的視聴率で「お化け番組」と呼んだNHKの朝ドラ{おしん}を思い出す。

190試乗後の感想は、コンパクトだが内容印象は高級で、ベンツの名を汚すものではなく、最上級Sクラスの流れをくみ丁寧に作り込まれたミニチュア版と判り、当初の心配は安堵に変わった。(トップ写真:83年ヤナセ主催の箱根報道関係試乗会での一コマ/Kジェトロ搭載車)

が、人の手で丁寧に作り込む伝統の工法が、今にして思えば、この190が最後だったように思える。それ以後のベンツは、日本流合理的大量生産方式に傾いていったからだ。

(190では唯一直列六気筒OHC・2.6ℓ・165馬力搭載のスポルトライン)

190のスタイリングは、Sクラスからの流れに沿ったものだが、斬新な一本のアームのワイパーが、左右に大きく振れるたびに、複雑に上下運動するさまが面白かった。

直四OHC・1977ccには、機械式制御燃料噴射Lジェトロ90馬力と、電子制御Kジェトロ122馬力があり、後に2.5ℓディーゼル、そしてスポーティーな2.6ℓも追加された。

燃料供給を電気的に算出して噴射するKジェトロ一本にしなかったのは、未だ電子制御に自信がなかったようで、Lジェトロもという二本立て構成になったようだ。(どちらもボッシュ製品)

当時小型車の主流はFWDに移っていたが、シリーズの末っ子らしく190はFRだったせいで、小型ながら伝統のベンツの乗り味を楽しむことができた。

インテリアも、上級車から乗り換えても違和感がない見慣れた造りで、革張りシートも豪華だった。が、厚いドア、重厚なシートの影響で、同サイズの日本製より室内に狭さを感じた。

(コンパクトにまとめてはいるが、Sクラス→Eクラスの流れを汲み乗り換えても違和感がない190のコクピット)

190は、日本で5ナンバー登録可能な貴重なベンツだった。
嘘かまことかは知らぬが、190開発ではヤナセの助言をいれ、大量に売れる日本市場を考慮してサイズを決定したと聞いた。

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