ボルボカージャパンは１月27日、最上級モデルで７人乗りＳＵＶ、ＸＣ90を12年ぶりにフルモデルチェンジして発売した。新型車は安全性の向上や電動化、自動運転を見据えた新しいプラットフォーム、スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー（ＳＰＡ）を採用した、新世代モデルの第１弾であるほか、パワーユニットには国内初導入となるプラグインハイブリッド（ＰＨＶ）も設定された。

■新世代モデルにふさわしいデザイン

　エクステリアは、北欧神話に登場するトール神（雷神）がもつハンマーをモチーフにしたＴ字型のポジションライトをもつＬＥＤヘッドランプ（写真右上）をはじめ、シャープなショルダーラインなど、虚飾を廃した機能的なボディが特徴。これはスカンジナビアンデザインを反映させたものだ。また、フロントグリル中央のアイアンマークもリニューアル。リヤライトの力強い造形はボルボのアイデンティティを継承している。

　インテリアは、クリーンでモダンなデザイン。また、インフォテイメントシステムには、直感的に操作可能な「ＳＥＮＳＵＳ（センサス）」を採用。走行中に必要な情報は、新たに設定された12・３インチのメーターパネルと、ヘッドアップディスプレイに表示される。縦型のタッチスクリーン式センターディスプレイには、ナビゲーションや空調の操作系が集約されている。ボタンやスイッチの数を大幅に減らすことで、ディティールの美しいキャビンを生み出した。

■２種類のパワーユニットを設定

　モデルラインアップは、ガソリンエンジンが３グレード、ＰＨＶが１グレードの４グレーで構成され、パワーユニット〝ドライブ-Ｅ〟は１００％自社開発。最上級モデルとなるＰＨＶには、直列４気筒２・０㍑スーパーチャージャー＋直噴ターボエンジンと電気モーターを搭載。システム合計で最高出力４０７ＰＳ、最大トルク６４０Ｎｍ（欧州参考値）を発揮し、15・３㎞／㍑（ＪＣ08モード燃費）という低燃費を実現した。また、電気モーターのみで35・４㎞走行できる。

　一方、ガソリンエンジンは「Ｔ５」と「Ｔ６」の２タイプを導入。Ｔ５は直列４気筒２・０㍑直噴ターボエンジンで、最高出力２５４ＰＳ、最大トルク３５０Ｎｍを発揮する。Ｔ６は、直列４気筒２・０㍑スーパーチャージャー＋直噴ターボで３２０ＰＳ、最大トルク４００Ｎｍを発揮する。全てのパワーユニットは８速ＡＴと、電子制御ＡＷＤとの組み合わせで、高い環境性能と卓越した走行性能を実現した。

■新プラットフォーム

　新型ＸＣ90は、スウェーデン史上最大級となる１１０億ドル（約１兆３０００億円）もの投資による、一連の構造改革により生み出された最初のモデル。その核となるのが、新プラットフォーム、ＳＰＡだ。今後販売される中大型モデルすべてに適用が可能になっている。このＳＰＡによりドライビングダイナミクスも大きく進化した。

　プレミアムＳＵＶとして、快適な走行性能とクイックなレスポンスを両立。車体寸法が拡大したが、先代モデルに比べ１２０㎏の軽量化を実現。フロントにはダブルウィッシュボーン、リアには複合樹脂素材製のリーフスプリングを用いたインテグラルアームサスペンションを採用。五つのドライブモードを選択できるエアサスペンションもオプション設定されている。

■二つの世界初の安全技術

　世界初となる二つの安全技術が採用されている。その一つが「ランオフロード・プロテクション（道路逸脱事故時保護システム）」。これは車両のミリ波レーダー／高解像度カメラ一体型センサーユニットが、道路から逸脱したことを検知すると、即座にシートベルトが電動で巻き上がり、乗員の姿勢を衝撃に耐えられるように保ち、それと同時にシートとシートフレームの間にあるメタル製クッションが乗員にかかる衝突の衝撃を吸収する。これにより、乗員の身体へのダメージ、特に脊髄損傷による重症化を防ぐ。

　もう一つが「インターセクション・サポート（右折時対向車検知機能）」（写真右）。交差点の右折時に直進してくる対向車との距離や速度を検知して、そのまま右折すると衝突すると判断された場合、衝突を回避・軽減するオートブレーキが作動する。

　このほか、昼夜問わず対応可能な歩行者・自転車検知機能付フルオートブレーキや、時速50㎞以下の速度域でのステアリングアシストを行なう、パイロットアシスト（追従時車線維持機能）などを全車に標準装備。先進安全装備をリードしてきたボルボらしさが現れている。

【希望小売価格】

Ｔ５　ＡＷＤ　Ｍｏｍｅｎｔｕｍ＝７７４万円▽Ｔ６　ＡＷＤ　Ｒ-ＤＥＳＩＧＮ＝８７９万円▽Ｔ６　ＡＷＤ　Ｉｎｓｃｒｉｐｔｉｏｎ＝９０９万円［ＰＨＶ］Ｔ８　Ｔｗｉｎ　Ｅｎｇｉｎｅ　ＡＷＤ　Ｉｎｓｃｒｉｐｔｉｏｎ＝１００９万円

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