ホンダ、FCV「クラリティ フューエルセル」発売
matsuguma
ホンダは3月10日、新型燃料電池自動車「クラリティ フューエルセル」を発売。当面は自治体や企業などへのリース販売となる(初年度は200台程度)。新型車は先進機能に加え、クルマとしての実用性も高めた。燃料電池機器類をボンネットに収まるまで小型化。セダンタイプとして世界初の5人乗りを実現した。また、高効率化されたパワートレーンにより、一充填走行距離を世界トップクラスの750㎞を達成した(JC08モード走行時)。
燃料電池自動車(FCV)はガソリンを使わず、タンク内の水素を燃料電池によって空気(大気)と化学反応させ電気を発電。その電気でモーターを駆動して走行する。走行中には二酸化炭素などを含む排出ガスは一切出さず、化学反応で生じる水だけしか排出しないので、究極のクリーンカーともいわれている。
同社では、1980年代後半からFCVの研究開発を行ない2002年にFCX、2008年にFCXクラリティを発表し、FCVの使い勝手や走行性能などのデータを採集。クラリティ フューエルセルはそのデータをもとに開発され、ガソリン車と同等の扱いやすさを実現した。
■高い空力性能を誇るワンモーションシルエットのボディ
ボディサイズは全長4915㎜×全幅1875㎜×全高1480㎜とし、この堂々とした体躯を先進的で美しいプロポーションにまとめた。流麗なワンモーションシルエットからなるキャビンは前後で三次元に絞り込みながら、ブラックアウトすることで、ガラスドームのキャノピーのような広く明るい空間を表現した。
ロー&ワイドなボディは18インチアルミホイールやリヤの大型スポイラーを装着することで、クリーンカーでありながらもスポーティな雰囲気を醸し出している。
また、FCVとして一充填あたりの走行距離をより延長させるため空力性能も追求した。セダンタイプの場合、ルーフからトランクに向かうキャビン上面の空気の流れと、キャビン側面の空気の流れの速度や向きによって車体後方に空気抵抗の主要因となる大きな縦渦が発生する。燃費性能に影響を与えるこの縦渦を低減するため、ルーフから大型リヤスポイラーを含めたトランク上面のボディ形状とともに、キャビン側面の形状も室内空間を犠牲にすることなく最適化することで、車体上面と側面の空気の速度差を小さくし、優れた空力性能を手に入れた。
■走行情報が直感的に伝わるデジタルグラフィックメーター採用
インテリアは、インストルメントパネルの中央からドアにかけて左右方向に伸びやかな安定感をもたらす水平基調を意識したことで、数値以上に広く感じる快適な空間を構成した。メーターパネルは、液晶ディスプレイを用いたグラフィカルな表現と、シルバーフレームを用いたゾーニングによって、さまざまな情報が瞬間的に認知でき、直感的に操作できるヒューマンマシンインターフェイスを実現している。
メーター中央部には、液晶ディスプレイの特性を活かし、速度表示や燃料電池発電量モニター、パワー/チャージメーターなどをグラフィックで表現。メーターパネルの左右には、高電圧バッテリー残量計や燃料系を配置し、走行中でも瞬時に把握できる
。
■独創の技術で大幅に小型化
ガソリン車と同等の扱いやすさを得るために、パワートレーンの小型化を追求した。それぞれの構成部品を見直し、FCスタックはセル出力を1・5倍に向上することで、セルの厚みを20%、セル数で30%削減し、従来モデルから容積比33%の小型化を達成。このFCスタックを横向きにし、駆動ユニットと組み合わせることでボンネット内に納まるサイズを実現した。
燃料電池パワートレーンが小型化したことで、70MPaの高圧水素貯蔵タンクを2本搭載しながら、ガソリン車と共通のパッケージ設計が行なえるようになり、さらには既存の生産ラインを活用できるなど量産性も高まった。
なお、高圧水素貯蔵タンクへの水素充填時間は約3分と、〝燃料〟補給時間はガソリン車と変わらない。

■充実の安全装備
先進のクリーンカーふさわしく安全装備も〝先進〟のものを標準装備している。ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせた先進運転支援システム「ホンダセンシング」は衝突軽減ブレーキはじめ、歩行者との衝突が予測された場合に音と表示に加え、ステアリング操作でドライバーの回避行動をサポートする歩行者事故低減ステアリングや、先行車との適切な車間距離をたもつ渋滞追従機能付きアダプティブズクルーズコントロール、道路標識を単眼カメラで捉えディスプレイやヘッドアップディスプレイに表示する標識認識機能など八つの安全運転支援装備を搭載している。
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