ホンダ・新型NSXを発表 ミッドシップレイアウト×革新的なスポーツハイブリッドSH‐AWDで新たな走りの喜びを提案
osaki
本田技研工業は8月25日、スーパースポーツモデルの新型「NSX」を発表、受注を開始した。新型NSXは、V型6気筒3・5㍑ツインターボエンジンと9速DCTを組み合わせ、3モーターによる高度なトルクベクタリングを可能にする独自のハイブリッドシステム、スポーツハイブリッドSH-AWDを搭載。この技術をスポーツカーとして多くの利点を持つミッドシップレイアウトに応用することで、日常からサーキットまで、これまでにない新たな走りを実現した。
1990年に初代NSXが誕生してから四半世紀余。当時、名車といわれるスポーツカーは、乗る人を魅了するスパルタンな乗り味や操作感など、ある種の緊張を必要とする独特のテイストを持ち、それこそが価値という常識が存在していた。しかし、ホンダはクルマが乗り手を選んだり、必要以上の緊張や疲労を強いることはふさわしくないと考え、ドライバーの意志に素直に応答する人間中心の「ヒューマン・オリエンテッド」をコンセプトに、人と深い接点を持ち、世界第一線級の運動性能と快適に操れるスーパースポーツを目指して、初代NSXを開発した。このDNAは新型車にも継承され、進化を果たしている。
■あらゆる状況でスーパースポーツとしての性能を発揮
搭載されるエンジンは、専用開発されたV型6気筒3・5㍑ツインターボで、ミドルクラスの排気量ながら高圧縮比化などさまざまな技術を注ぎ込み、最高出力507PS/最大トルク550Nmという大排気量エンジンを凌駕する性能を発揮する。
トランスミッションは、市街地でのスムーズな走り、高速道路での快適な走り、サーキットなどでの全開走行のすべてで満足するために、ダイレクト感のある9速DCTを搭載。1速は俊敏な発進加速、2~8速はパワーピークゾーンをキープできるクロスレシオ、9速では静かで快適な高速クルージングを実現。自動変速モードでは、走行状況とドライバーの操作から、瞬時に最適なギアを選択するソフトウェアの開発にこだわった。
パワーユニットの要となる三つのモーターのうち、後輪をアシストするダイレクトドライブモーター(最高出力48PS/最大トルク148Nm)はクランクシャフトに直結されており、低回転域で大きく発生するターボラグを、低回転域で高トルクを発生するモーターの特性を生かして解消した。
フロントに左右対称に配置されたツインモーターユニット(最高出力74PS/最大トルク146Nm、2基合計)は、前輪のトルクをそれぞれ自在に制御することでコーナーではアンダーステアを抑制し、挙動の乱れを安定化。これまでにない安心感とオン・ザ・レール感覚で狙ったラインをトレース可能とし、ミッドシップスポーツの走りに新たな喜びをもたらす。
また、静粛性を目的とした「クワイエット」からサーキットで性能を最大限引き出す「トラック」まで、ドライバーのニーズに合わせてシャシーとパワーユニットを統合する四つのモードを設定。誰もが我慢を強いられることなく、さまざまなシーンでスーパースポーツを楽しめる。
■複数素材によるスペースフレームを新開発
新世代のスーパースポーツにふさわしい高剛性と最大限の軽量化を達成するために、高剛性の押出成形のアルミ材を中心とした、複雑素材によるスペースフレームを新開発。長年の基礎研究の成果を生かし、自動車として初となるアブレーション鋳造や、3次元熱間曲げ焼き入れ(3DQ)超高張力鋼管フロントピラーを導入し、軽量・高剛性とすぐれたスペース効率、衝突安全性を実現した。
パッケージングは世界第一線級の運動性能実現のため、あらゆる主要システムをコンパクト化。前後オーバーハングを最小化しホイールベース内に重量物を集中させ、ヨー慣性モーメントを低減させた。さらに、クラストップレベルの低重心化を実現するとともに、燃料タンクを2分割化し重心近くに配置し、燃料の残量にかかわらず安定したパフォーマンスが与えられる。
ミッドシップレイアウトにとって、すぐれた冷却性能の確保は重要な課題のひとつ。時速300㎞超の走行シーンも考慮し空気抵抗が増大しないよう、効率的なベント(通気)構造とした。フロントは複数のラジエーターを配置し冷却と空気抵抗低減を両立。一方、空気を引き込むことが困難なリヤは、ドアパネルに沿って空気流を安定化させサイドインテークに導いた。これらにより、全体の空気流は10個のラジエーターを通り、、すべてのパワーユニット構成部品を冷却する。
足元まわりは、フロントにオールアルミニウム・インホイール・ダブルウィッシュボーン、リヤは同マルチリンクサスペンションを搭載。さらに、電動パワーステアリングを用い、電子制御サーボブレーキシステムによるブレーキフィールまで徹底的にチューニングし、さまざまな走行シーンでドライバーからの入力を忠実に伝え、すぐれたハンドリング性能を発揮する。
■力強さと軽さを編み合わせた先進のデザイン
エクステリアは、スーパースポーツとしてのハイパフォーマンス感と力強さ、これに相反する空力的な軽さ、機能的な羽根のような造形を編み合わせるイメージでデザイン。この中で、低くワイドでアグレッシブなイメージを与えるフロントのジュエルアイLEDヘッドライト、同様の特徴を持つLEDテールランプが精悍さを与えている。
インテリアは、インストルメントパネル中央に、強固な骨格を思わせるガーニッシュデザインを採用。また、ダッシュボードを低くすることで、コーナリング時に前方と横方向のすぐれた視界を確保。さらに、フロントのフェンダーが見えるため、タイヤの位置が認識しやすく、コーナリング時のクリッピングポイントを狙いやすくするなど、NSX最大の特徴ともいえる、優れた視界を徹底追求した。
【希望小売価格】
2370万円
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