三菱自動車、ルノー・日産アライアンスの一員に 日産が34%の株式を取得し筆頭株主
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三菱自動車工業は10月20日、日産自動車による三菱自動車への2370億円の出資完了を受け、日産が三菱自動車の発行済み株式の34%を保有する筆頭株主になったと発表した。これにより、三菱自動車を加えたルノー・日産アライアンスの2016年度のグローバル販売台数は1000万台に達する見込みで、世界トップ3の自動車グループが誕生することになった。
両社の戦略的アライアンスは軽自動車の合弁会社を設立するなど、過去5年にわたり協力を続けてきたが、三菱自動車がアライアンスに加わることでさらなるシナジーを創出。今後は、共同購買によるコストの削減、現地調達の徹底、工場の共用、共通の車両プラットフォーム、技術の共有、新興・成熟市場における協業、豪州等の市場における三菱自動車ユーザーに、ローンやディーラー向けのファイナンスなど日産系の金融商品の提供などの領域で、まずは短期的なメリットを享受できるプログラムを推進する。
今回のパートナーシップにより、三菱自動車は2017年度に営業利益率1%、18年度には2%、19年度には2%以上の向上を目指すとともに、一株当たりの純利益も、17年度に12円、18年度に20円の増加で、17年度以降年間250億以上の効果を見込む。日産においても、税引前投資収益率10%相当を17年度、25%を18年度以降とし、一株当たりの純利益は17年度に4円、18年度は10円の上昇を想定し、シナジー効果は17年度で240億円に及ぶ。
また、日産の社長兼最高経営責任者(CEO)のカルロス・ゴーン氏が、三菱自動車の次期会長に選出されたことも発表。日産からはゴーン氏に加え、すでに三菱自動車の開発担当副社長に就任している山下光彦氏、専務執行役員の川口均氏、常務執行役員の軽部博氏が三菱自動車の取締役に選出される。さらに、三菱自動車からの要請で、日産のチーフパフォーマンスオフィサー(CPO)であるトレバー・マン氏が、三菱自動車の最高執行責任者(COO)に就任する。
これにあわせて日産でも体制の変更を実施。ゴーン氏は引き続き日産の社長兼CEOを兼務するが、現在チーフコンペティティブオフィサー(CCO)を務める西川廣人氏が、11月1日付けで共同CEOに就任などの人事を発表。三菱自動車の支援に向けて体制強化を図る。
三菱自動車の既存の大株主である三菱重工業、三菱商事、三菱東京UFJ銀行は、日産の出資を歓迎するとともに、新しい取締役候補の選出や経営支援に賛同。今後、この3社と日産で51%以上の株式保有を維持していく。
会見での両氏の発言(要旨)は次の通り。
―――三菱自動車の益子修会長兼社長が新体制でも社長として留任する理由は
ゴーン氏:私が益子さんに残ってもらいたいと強く要望した理由の一つは三菱自動車の従業員のみなさんに、三菱自動車は三菱自動車のままであると理解してもらいたかったから。三菱自動車は、日産の子会社や一部門になるわけではない。益子さんが三菱自動車のリーダーであることは、力強いメッセージだ。日産が三菱の改革を行なうのではなく、三菱自身が、日産の支援を受けて改革を行なうのだ。
益子氏:燃費不正問題の経営責任をとって退任したいことはゴーンさんに伝えていたが、ゴーンさんから強い要請を受けた。これまでの経緯を考えると、引き続き経営陣に残ることについて前向きになれなかった。だが、新体制をスムーズに軌道に乗せることで、来年度より始まる次期中期経営計画の道筋をつけるのも経営責任のありかただと考え方を整理して、ゴーンさんとともに経営にあたることを決断した。
―――不祥事続きの三菱自動車でゴーン氏の改革が成功すると考える根拠は
ゴーン氏:日産とルノーがアライアンスを結んだ1999年も同じようなことを言われたが、過去がダメだったから成功できないという考え方では、日産の再生はあり得なかった。三菱自動車には才能豊かで優秀な社員が揃っている。もちろん多くの変革が必要だが、ノウハウやコーチングといった人材面でも全面的にサポートしていく。
―――疲弊した国内販売をどのように向上させていくか
益子氏:日産との資本提携で明確になっているのは、経営の独立性、ブランドの独立性、マーケティングはまったく別ということ。日本市場については、自分の力で立ち直らせていかなくてはならない。協業する部分もあるが、マーケットでは競争するところもある。シナジーを追求していく過程で、日産からクルマや技術を貰い受ける可能性もあり、これは国内市場に還元していくと思う。自分たちのプロダクト技術に加えて、日産のプロダクト技術も国内市場で活用できるものがあれば、活用して国内の販売店に対して勇気を与えていきたい。
―――双方でどれだけのメリットが期待できるか
益子氏:インドネシアで建設中の新工場で、来年10月から新型MPVの生産を開始する。これについては、日産にOEM供給することで協議を進めており、日産は新型MPVをASEAN各国で販売することを計画している。三菱としては、生産台数の向上で、インドネシアの事業性が大幅に良くなると見ている。また、ルノーとは得意とする分野がはっきりと分かれており、シナジーの追求余地や可能性は大いにあると思う。ルノーはディーゼルエンジンの開発・生産で力を持っているので、三菱でもルノー製のエンジンを採用といったことも考えられると思う。
―――開発部門の改革の方針は
益子氏:開発部門では山下氏が指揮を執り、工数管理や意識改革、業務改革などに取り組み、現在6~7合目まで調査が進んでいる。もうすぐ全体像が把握できそうなので、その時点で外部人材を招くことなどを検討したい。
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