カーアンドレジャーニュース > トヨタとマツダ、業務資本提携へ クルマの新しい価値創造と持続的成長を目指して
2017/08/07

トヨタとマツダ、業務資本提携へ クルマの新しい価値創造と持続的成長を目指して

osaki
カーアンドレジャーニュース

 トヨタ自動車とマツダは8月4日、持続的な協業関係のさらなる強化のため、業務資本提携に合意したと発表した。主な内容は、①米国での完成車生産合弁会社の設立、②電気自動車(EV)の共同開発、③コネクティッド技術の共同開発、④先進安全分野での技術連携、⑤商品保管の拡充、資本提携というもの。

 2015年5月、両社はクルマが持つ魅力をさらに高めていくことを念頭に、互いの経営資源の活用や、商品・技術の保管など、互いにシナジー効果を発揮しうる、継続性のある協力関係の構築に向けた覚書に調印した。

 それから2年間で、自動車業界は、環境・安全に関わる規制強化、異業種参入、モビリティビジネスの多様化など、大きな変革期に突入したともいえる。こうした状況で、両社はそれぞれが得意とする技術や事業基盤のさらなる強化のみならず、提携を通じて協力関係を深化させることで、共にこの変革期に挑み、克服することで持続的成長につなげたいと考えている。

●トヨタ自動車・豊田章男社長の話し──クルマを愛する者同士が、もっといいクルマを作る提携
 2年前、走らせて退屈なクルマは絶対に作らないなど、マツダの考え方に大いに共感した。マツダは私どもが目指す〝もっといいクルマづくり〟を実践しており、今回の提携で私たちは多くのことを学ぶ良い機会をいただいたと感謝している。

 現在、私達の前にグーグルやアップル、アマゾンといった新しいプレーヤーがおり、全く新しい業態で未来のモビリティを良くする情熱を持っている。未来は決して、自動車会社だけで作れるものではない。物事を対立軸で捉えるのではなく、新しい仲間を広く求め、競争し、協力し合うことが大切だと思う。

 一方、自動車会社にはこれまでモビリティ社会を支えてきたという自負がある。新しいプレーヤーと競うには、自動車会社はとことんクルマにこだわらないといけない。その原点が〝もっといいクルマを作りたい〟という情熱だ。この提携で得た一番大きな果実は、クルマを愛する仲間を得たこと。マツダに負けたくないというトヨタの負け嫌いに火をつけていただいた。両社の提携は、クルマを愛する者同士がもっといいクルマをつくるための提携であり、未来のクルマを決してコモディティ(日用品)にしたくない、という思いを形にしたものだ。

●マツダ・小飼雅道社長の話し──「規模や領域の幅広さは違えど、私達には多くの共通点がある」
 トヨタは、自動車業界が抱える将来の課題に対し、さまざまな領域で果敢に挑戦し、イノベーションを進めリーダーシップを発揮する会社。それでいて、もっといいクルマを作ろうと、自ら先頭に立ち課題に挑戦し続ける姿勢に強く胸を打たれている。

 当社は2020年に創立100周年を迎える。その先は、新しいプレーヤーと競い合い、協力し合いモビリティ社会を作っていく。クルマづくりにこだわる情熱は、マツダは誰にも負けないと自負している。トヨタとは規模や領域の幅広さは違えど、私達には多くの共通点があると感じている。将来に向け、走る喜びを先鋭化させたクルマづくりと、マツダらしいブランド価値経営により、小さくとも際立つ独自のブランドを築き上げていく。そして、その実行こそが長期にわたる両社の協業に貢献できると考えている。

■業務提携について
①米国での完成車の生産合弁会社の設立
 両社折半出資で、米国内に30万台規模の生産能力を持つ完成車を生産する合弁会社の設立を検討する。

 新合弁会社が設立する新工場は、2021年の稼働開始を目指し、総額16億ドル(1776億円)前後を投資し、4000人規模の雇用を行うことを想定している。従来の商品・技術分野での協業に加え、新たに生産協業を通じ、生産面における競争力の向上を目指す。

 合弁会社では、マツダが北米市場に新しく導入するクロスオーバー車及びトヨタの北米市場向けカローラの生産を行うことを想定。マツダはこの合弁事業を通じ、地域・車種の需要動向に機動的に対応できる柔軟な生産性を拡大させ、北米で成長が期待される車両を中心とした現地生産体制を構築することを目指す。

 トヨタは成長する北米市場へ、本米国自動車生産合弁事業を通じ現地生産体制の増強し、一層地域に根ざした経営を進めることを目指す。

 なお、トヨタが現在建設中のメキシコ・グアナファト工場では、カローラの代わりにタコマを生産する予定で、今後の投資、雇用計画などに影響はない。

②電気自動車の共同技術開発
 世界で電気自動車(EV)の需要と期待が高まる中、発展期にあり予測が難しいEV市場の動向に臨機応変かつ効率的に対応するため、両社は力を結集し、自由闊達に知見を出し合いながら、各国の規制や市場動向に柔軟かつ迅速に対応でき競争力のあるEVの基本構造に関する技術を共同で開発することを検討する。

③コネクティッド・先進安全技術を含む次世代の領域での協業
 クルマの情報化、車内外をつなぐ情報連携技術の要求の高まりに備え、車載用マルチメディアシステム関連技術の共同開発を進める。また、事故のない安全なクルマ社会の実現に向け、トヨタが保有する車々間、路車間通信技術をマツダと連携することで進めていく。

④商品補完の拡充
 既に北米では、マツダからトヨタにコンパクトセダンを供給しており、これに加え、日本でトヨタからマツダに小型商用2ボックスバンを供給する。これ以外でも、今後グローバルに商品補完の可能性を検討いていく。

■資本提携について
 両社の長期的なパートナー関係の発展、強化のため、相互に株式を取得する。内容は次の通り。

 トヨタは、マツダが実施する第三者割当による新株式発行により、マツダの普通株式3192万8500株(所有割合5・05%、総額500億円)を取得する。マツダは、トヨタが実施する第三者割当による自己株式の処分により同額相当のトヨタ株式(所有割合0・25%)を取得する。

 両社はこの資本提携を通じて、米国での完成車生産の合弁会社設立にかかる設備投資資金の一部へ充当する予定。なお、両社の業務提携関係の進捗に応じて、本提携に基づきさらなる資本提携関係の強化も検討する。

 日程は、合意書締結日が2017年8月4日、株式取得日(払込期日)が17年10月2日(月)となっている。

 週刊Car&レジャーについてはこちら→http://www.car-l.co.jp/

Facebookで更新情報をチェック!